個人単位の被保険者番号やマイナンバーカードなどに対応した「オンライン資格確認システム」が2020年末にも稼働する見通しだ。失効した保険証による過誤請求や保険者の未収金を大幅に減らせたり、薬剤情報などの閲覧によって重複投薬が避けられたりすることがメリットとして挙げられている。システム稼働によって医療現場で何が変わるのか。【新井哉】
■個人単位化された被保険者番号の活用も
国民健康保険には、個人の疾病・医療に関する情報はあるが、健康な時期に関する情報がない。一方で、被用者保険には、壮年期の特定健診等の情報があるが、そのアウトプットに相当する医療に関する情報がない―。「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」が17年1月にまとめた報告書では、こうした課題を挙げていた。
また、これらの情報を連結する重要性を強調しており、「ある個人が、何歳の時点で特定健診・特定保健指導を受け、その後、いつ医療機関等にかかり、どのような状態でどういった処置を受け、さらに、将来的にどのような医療・介護を必要としていったかが、分析できるようになる」としていた。
厚生労働省も「患者本人や医療機関等において、特定健診データや薬剤情報等の経年データの閲覧が可能となる」とし、▽疾病の予防▽健康づくり▽重複投薬の削減―などにつなげたい考えだ。
厚労省が示している「イメージ」では、社会保険診療報酬支払基金(支払基金)と国民健康保険中央会(国保中央会)で、個人単位の被保険者番号と資格情報とを1対1で対応させ、保険者をまたがって一元的に管理する。保険医療機関・薬局は、一部負担割合を含む資格情報をオンラインで確認できるようになる。
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