自殺対策の計画を都道府県が策定し、精神科医療につなぐための支援体制などを拡充する方針を打ち出している。国が2017年に自殺総合対策大綱を改正したことを踏まえ措置。各都道府県の計画期間は18年度から22年度までの5年間となっているが、この間、医療機関はどう関わっていくのか。今後の方向性を探った。【新井哉】
■「精神的ケアを効果的に」、医療者対象に研修
東京都は6月に公表した自殺総合対策計画で、救急医療機関に搬送された自殺未遂者を精神科医療につなぐ相談調整窓口を設置し、支援体制を強化する方向性を示した。
精神疾患を併せ持った救急患者の搬送をめぐっては、ケースによっては精神科医による対応が必要になるため、患者の受け入れが可能な医療機関を探すのに時間がかかっている。特に精神科のない救急告示医療機関に患者が搬送された場合、精神疾患の知識がほとんどない救急医が単独で対応せざるを得ない。自傷行為の部位の縫合などの処置ができたとしても、退院後の精神科外来の通院に関する助言といったフォローアップができない恐れがある。
計画では、こうした自殺未遂者について、再企図を行う可能性が高いことを挙げた上で、救急医療部門に搬送された自殺未遂者に退院後も含めて継続的に適切に介入する必要性を指摘。精神科医療につなぐ取り組みを進めるほか、医療機関などの従事者を対象にした研修を行い、「精神的ケアや支援を効果的に行う」と明記した。
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