医師の応召義務について、解釈や対応方法が見直される可能性が出てきた。厚生労働省は9日に開かれた「医師の働き方改革に関する検討会」で、今後の議論の進め方の案を示した。その中で、9月に開く検討会の会合で検討する事項に応召義務が盛り込まれたからだ。厚労省は、応召義務が争点となった過去の裁判の判例を収集しており、医師の負担軽減の観点などから議論の方向性を提案する見通しだ。【新井哉、兼松昭夫】
■「応召義務の特殊性にも配慮」、座長が提起
医師法(昭和23年=1948年=法律第201号)第19条で定めた応召義務について、個人ではなく組織としての対応をどう整理するかといった観点から、検討してはどうか―。検討会が2月に取りまとめた「中間的な論点整理」で、「社会情勢、働き方、テクノロジーが変化している中で、今後の在り方をどのように考えるか」と検討を行う必要性を挙げていた。
どうして応召義務が論点になったのか。医師の労働時間の見直しを図る上で、避けては通れない課題の1つになっていた。1年ほど前の検討会の初会合で、岩村正彦座長(東大大学院法学政治学研究科教授)が医師の長時間労働の是正を目指す方向性を示しながらも、「一方では、応召義務の特殊性にも配慮することが求められている」と提起していた。
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