スマートフォンからの利用が想定されていない―。厚生労働省で6月28日に開かれた「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」で、IT関連の専門家が医療機能情報提供制度(医療情報ネット)の課題を挙げ、最新情報の公開と標準化を促した。厚労省は「診療科目、診療日、診療時間や対応可能な疾患治療内容等の医療機関の詳細が分かります」と強調しているが、年間数回の更新では、診療科が廃止されているなどの陳腐化が避けられず、患者やその家族からそっぽを向かれかねない。解決策はあるのか。【新井哉】
■課題の1つは都道府県ごとの「ばらつき」
医療情報ネットは、住民・患者による医療機関の適切な選択を支援しようと、2006年の第5次医療法改正で導入された。病院に対し、医療機能に関する情報を都道府県知事に報告するよう義務付け、その報告を受けた都道府県知事が住民・患者に情報を提供する仕組みとなっている。
厚労省は、医療機能情報の具体例として、▽管理・運営・サービス(診療科目、診療日、診療時間、病床数などの基本情報、アクセス方法、外国語対応など)▽提供サービス・医療提供体制(広告可能な専門医、保育設備、対応可能な疾患・治療内容、セカンドオピニオン対応など)▽医療の実績・結果(医療安全・院内感染対策、患者数、平均在院日数など)-を挙げている。
医療情報ネットを推進した厚労省は「ばらつきのない情報提供の仕組みを構築した」と胸を張っているが、実態は違うようだ。
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