人工知能(AI)やビッグデータなどが保健医療行政をどう変えるのかをテーマに、国立保健医療科学院は「公開シンポジウム2018」を6月29日に開催した。パネルディスカッションでは、保健医療行政におけるAIなどの活用について、米国、中国に比べると日本は「負け戦だ」との意見が出された。【齋藤栄子】
パネルディスカッションでは、3人の教授がそれぞれのテーマに基づいて講演した。北見工業大の奥村貴史教授は、「中国では病院間の格差が大きく、高度医療を提供する病院に患者が集中している」と中国の病院事情について触れ、「企業にとって医療AIは大きなビジネスチャンスで、AIによるスマート医療の開発のため100億円程度の寄付をするなど、すさまじい資金を獲得している病院もある」と述べた。これに比べると、日本の医療用AIは「国際競争力を獲得するには至らない可能性が高い」と指摘した。
講演後の総合討論では、AIが保健医療行政に与える影響について、「人工物は設計者が理解し制限しているので、ミスがあれば設計者とその会社に責任が生じる。しかし、AIは基になるアルゴリズムはあるが、(AI自身が学習して実行するため)間違った場合にその理由が分からない。社会で使う場合には、どんな法律を定めればよいのか、どのようなテスト、監査をすべきか、いろんな議論をすることがどの産業においても大事だ」と、松尾豊・東京大大学院特任准教授が意見を述べた。
(残り488字 / 全1095字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】