急性期医療を全く提供していない病棟は、病床機能報告で高度急性期機能・急性期機能と報告できない―。15日に開かれた厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で、病床機能報告を見直す方向性が固まった。2018年度の病床機能報告では、医療機能の選択に関する「定量的な判断基準」を明確化する。地域の医療機能を現場の状況に近い形で把握し、地域医療構想の達成に向けた議論に反映させたい考えだ。【新井哉】
■回復期機能の病床、「大幅に不足」との誤解も
病床機能報告では、実際の病棟にはさまざまな患者が入院していることを踏まえ、最も多くの割合を占める病期の患者に提供する医療機能を報告することを基本としている。地域医療構想調整会議で議論を行う際、病床機能報告の基準となっている、▽高度急性期▽急性期▽回復期▽慢性期―の各機能について、医療機関が医療機能を選択する際の基準としてではなく、医療機能や供給量を把握するための目安として活用している。
ただ、実際に高度急性期機能・急性期機能を提供していないにもかかわらず、急性期機能を提供していると報告する医療機関もあり、調整会議で地域の実態と異なる方向性が導き出される可能性があった。
こうした状況を改善しようと、厚労省は同日の会合で、18年度の病床機能報告の見直しに向けた「議論の整理案」を示した。
整理案では、17年度の病床機能報告の結果に触れ、「病床機能報告の集計結果と将来の病床の必要量とを単純に比較し、回復期機能を担う病床が各構想区域で大幅に不足していると誤解される状況が生じている」と指摘している。
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