厚生労働省は、第7次医療計画(2018-23年度)で予定されている計画の中間見直しについて、在宅医療に関する数値目標などを設定するよう都道府県に求めている。20年度末と23年度末における訪問診療を実施する医療機関数に関する数値目標と、その達成に向けた施策の設定を促している。しかし、一部の地域では、訪問診療を担っている高齢の医師の後継者が見つからない恐れも出てきており、難しい舵取りを迫られている。医療計画における在宅医療の目標設定の課題と方向性を探った。【新井哉】
■退院支援ルールの作成状況、都道府県間で格差
厚労省は、在宅医療の提供体制の構築に当たっては、▽退院支援▽日常の療養支援▽急変時の対応▽看取り―の場面に応じた「4つの医療機能を確保していくことが必要である」との見解を示している。また、24時間体制で在宅医療を提供できる体制の確保についても重要視しており、この体制を支えるため、「在宅療養支援診療所・病院等の積極的な役割を担う医療機関」「医師会・市町村等の在宅医療に必要な連携を担う拠点」などの働きで、多職種連携につなげたい考えだ。
しかし、在宅医療の提供体制をめぐっては課題もある。その一つが都道府県間の格差だ。厚労省は1日に開いた「都道府県医療政策研修会」で、自治体の担当者らに対し、都道府県の退院支援ルールの作成状況などを取り上げ、「退院支援ルールを在宅医療圏域すべてで作成しているのは、15都道府県であった」と指摘し、足踏み状態の自治体が少なくないことに危機感をあらわにした。
■10年後には訪問診療の医療機関が大幅減も
入院医療機関と在宅医療機関との協働による退院支援のルールが整っていない場合、多職種協働による患者や家族の生活を支える観点から医療を提供したり、緩和ケア・家族への支援を行ったりする「日常の療養支援」と、在宅療養者の病状の急変時における往診や訪問看護、入院病床の確保といった「急変時の対応」がルールにのっとりスムーズに行われない恐れがある。
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