2病院の再編・統合のきっかけは医師の大量退職だった―。16日に開催された「地域医療構想に関するワーキンググループ」では、深刻な医師不足を背景に、公的病院が休眠病床を抱え、二次救急医療を十分行えない状況に陥った、茨城県の鹿行保健医療圏の再生の道のりが示された。解決策として選んだのは「医療資源の集約化」だった。厚生労働省も集約化の流れを加速させたい考えだ。現場ではどのような試行錯誤が行われているのか。【新井哉】
■医師激減、病院が「診療所程度」の機能に
「鹿行地区とりわけ波崎・土合地域の医療を崩壊せしめた元凶は当院の医師激減でした」。鹿島労災病院(茨城県神栖市、199床)の山口邦雄院長は、最盛期に40人いた常勤医師が8人にまで減少し、一時は「診療所程度」の機能に落ち込んだことを同病院のウェブサイトで赤裸々に語っている。
千葉大大学院医学研究院泌尿器科学のウェブサイトの「全国の関連病院一覧表」には、同病院と山口院長の名前が記されている。また、「地域の医療を崩壊せしめた元凶」とされた退職者について、茨城県の関係者も千葉大から派遣されていたことを挙げ、「大量の引き揚げがあった」と指摘している。
同病院と神栖済生会病院(同市、179床)の再編統合協議会が取りまとめた「新病院等整備のための基本構想」によると、医師の大量退職に伴い、鹿行南部地域の救急医療体制を域内で完結することが困難となったほか、医師不足で鹿島労災病院で300床(当時)のうち200床、神栖済生会病院で179床のうち86床がそれぞれ休床となった。
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