【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
第158回の社会保障審議会・介護給付費分科会(1月26日開催)の参考資料「平成30年度介護報酬改定に関する審議報告の概要」には、介護報酬改定の目的の一つに、「地域包括ケアシステムの推進」が示されている。どこに住んでいても適切な医療・介護サービスを切れ目なく受けることができる体制を整備する必要があることから、「中重度の在宅要介護者や、居住系サービス利用者、特別養護老人ホーム入所者の医療ニーズへの対応」のための改定を行ったとしている。
2018年度介護報酬改定に関する審議報告の概要 クリックで拡大
厚生労働省資料より
今回改定では、ターミナルケアの実施数が多い訪問看護事業所や看護職員を手厚く配置しているグループホーム、たんの吸引などを行う特定施設を評価しているほか、特別養護老人ホームの医療体制を充実した場合の加算が新設され、その体制を整備した特養での看取り介護加算も評価が引き上げられた。つまり、自宅をはじめ、暮らしの場である居住系施設で、医療・看護体制の充実が求められ、それはすべての暮らしの場で「看取り介護」が行われることを目指すものともいえる。
わが国では、現在死者の8割以上が医療機関で「死の瞬間」を迎えているが、一方で医療機関のベッド数は減らされていく傾向にあり、今後医療機関で亡くなる割合は下げざるを得ない。
2030年には死亡者は年間約160万人を超えると予測されるが、現状のままでは47万人ほどが、死に場所の定まらない「看取り難民」になる恐れがあるとされている。それを防ぐには、社会のさまざまな場所で、看取り介護・ターミナルケアを行うことができる体制を整える必要がある。そのためにも、地域包括ケアシステムを推進・深化させ、さまざまな場所で所属機関の異なる多職種が連携・協働しながら、暮らしの場で看取り介護ができる体制が求められている。つまり、死ぬためだけに入院しなくてもよい社会を作るために、地域包括ケアシステムが求められているともいえる。
このように、地域包括ケアシステムと看取り介護・ターミナルケアは密接に関連している。これについては、13年3月に地域包括ケアシステム研究会が作成した「地域包括ケアシステムの構築における今後の検討のための論点」の中では、次のような内容が記されている。
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次回配信は5月24日5:00の予定です
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