厚生労働省はこのほど、「医療施設の経営改善に関する調査研究」報告書(2017年度医療施設経営安定化推進事業)を公表した。一度経営が悪化した医療機関が経営改善した事例について、「自院の現状分析・把握」や「トップのリーダーシップ」に着目しながら紹介している。自院の新たな方針に沿わない場合、医師に退職を勧奨したり、医師とコメディカルのコミュニケーション不足によるトラブル解消に理事長が直接介入したりするケースも見られた。【大戸豊】
医療施設の経営改善に関する調査研究(医政局の委託事業で川原経営総合センターが受託)
■自院の置かれた現状を把握
報告書では、経営が悪化する段階では旧経営陣が診療報酬のマイナス改定などに適切に対応できず、収支が悪化していたケースが多かったとしている。その後経営改善に取り組んだ経営陣の多くは、近隣の医療ニーズや医療政策の方向性について独自に情報収集を行ったり、改めて法人や病院の強みを見直し、戦略の転換を進めたという。
関東の中小病院では、地域でのポジショニングについて議論した際、病院に外科系の医師が多かったこともあり、引き続き急性期医療を提供することに決めた。さらに、診療領域を消化器系に絞ることについても議論したが、消化器単発の患者は今後の高齢化の進展で減少が見込まれるため、全人的に診療できる“小回りの利く医療”体制を進めることにした。
(残り1659字 / 全2252字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】