政府の規制改革推進会議(議長=大田弘子・政策研究大学院大教授)は27日、東京都内で公開ディスカッションを行い、オンラインでの服薬指導の実現や電子処方箋について議論した。大田議長からは、厚生労働省の対応に不満の声も出た。【大戸豊】
遠隔診療を活用した在宅医療モデルとして、南相馬市立小高病院(福島県南相馬市)管理者の藤井宏二医師がその取り組みを紹介した。東日本大震災の被災地である南相馬市では、医療従事者が危機的に不足していることから、同院では在宅医療に遠隔医療を導入。初診は対面で行った上で、病院職員(看護師)がタブレットPCを持参し、患者宅を訪問。医師がテレビ電話を通じて診療をする。現在17人が利用しており、14人は高血圧、3人が脳梗塞の後遺症があり、糖尿病の合併がある患者もいる。
遠隔診療について藤井氏は、患者の顔色も良く分かり自宅での生活状況なども見えるとし、「触診はできないが、対象を絞れば、それを補って余りある実力がある」と評価する。
一方、医師は遠隔診療で処方箋を出せるが、薬事法の“対面指導”のルールで、薬は薬局に受け取りに行く必要がある。藤井氏は在宅診療を受けているのに、遠くの薬局まで薬を取りに行けるわけがないとし、「出口の部分でなぜ(薬局まで)出かけて行かなければならないのか。制度として成立していない」と訴えた。
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