「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」が4月から適用されるのに併せて、厚生労働省は、医薬品卸や医療機関・薬局からの価格交渉などに関する相談窓口を省内に設置する。2018年度改定後の新たな薬価の下で価格交渉が始まる中、当事者間の交渉が行き詰まるケースを想定、行き過ぎた値引き交渉などガイドライン(GL)の項目に合わせて相談の内容を整理し、ホームページ上や省内の懇談会で公表する。担当者は、「まず交渉成立を目指していただくのが基本。どうしても行き詰まった時に(窓口を)活用してほしい」と話している。【兼松昭夫】
■解決困難なら国が関与も
相談窓口を設置するのは、「過大な値引き交渉」や「頻繁な価格交渉」といった相談内容を「見える化」して医薬品の流通改善につなげるのが狙いだ。1日付で運用を開始する。
医療用医薬品の流通改善GLは、日本医師会などの団体や関係省庁に厚労省が1月23日付で通知していた。医薬品の流通改善はこれまで、製薬会社や医薬品卸、医療機関・薬局といった当事者に厚労省が呼び掛けてきたが、GLでは、これを国主導に切り替える方向性を掲げた。政府が16年末に固めた薬価制度抜本改革の基本方針に沿って、医薬品の流通改善のために順守すべき内容をこれらの当事者ごとにまとめた。
薬価の毎年改定がスタートする21年度をにらんで医薬品の流通改善を加速させ、市場実勢価格を薬価に適切に反映できる環境の整備を目指す。
医薬品卸や医療機関、薬局が順守すべきこととして、厚労省がGLの中で挙げたのは、▽早期妥結・単品単価契約の推進▽頻繁な価格交渉の改善▽過大な値引き交渉の見直し―の3項目。
このうち早期妥結・単品単価契約の推進に関しては、原則として全品目を単品単価契約にするのが「望ましい」と明記し、単品単価契約の割合を少なくとも前年度より高め、商品の受け渡しに関する覚書を契約の際に利用するよう求めた。
一方、「頻繁な価格交渉」については、卸売業者の使命である安定供給に支障を来すだけでなく、「購入側にも負担増となる」と改善を呼び掛けた。その上で、医薬品の安定供給に注力できるよう年間契約など長期的な対応を基本にするのが「望ましい」としている。
また、購入価格の全国水準などのデータを根拠に使い、地域性などに一切考慮しないような行き過ぎた値引き交渉に対しては、医薬品ごとの価値を反映して銘柄別に薬価収載する現行の薬価制度とは「相容れない行為」だとし、慎むよう強く求めた。
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