厚生労働省は、医師偏在の指標を導入する方向で調整を進めている。地域ごとの医師数の比較には、人口10万人当たりの医師数が主に使われているが、厚労省は「医師の地域偏在、診療科偏在を統一的に図る『ものさし』になっていない」と指摘。医療需要や将来の人口・人口構成の変化、診療科などに対応した指標の設定を目指す。指標の設定と医師確保計画の策定、地域医療対策協議会の機能強化などを柱とし、効果的な偏在対策につなげたい考えだ。今後の方向性を探った。【新井哉】
■偏在示す指標で医師の多寡を可視化
現在・将来人口を踏まえた医療ニーズに基づき、地域、診療科、入院・外来ごとの医師の多寡を統一的・客観的に把握できる「医師偏在の度合いを示す指標」を導入する―。厚労省は14日までに、医師偏在に関する具体的な対策を明らかにした。
なぜ「医師偏在の度合いを示す指標」が必要となるのか。人口10万人当たりの医師数を指標とした場合、▽医療需要(ニーズ)▽将来の人口・人口構成の変化▽医師偏在の単位(区域、診療科、入院・外来)▽患者の流出入▽医師の性別・年齢分布▽へき地・離島などの地理的条件―といった要素が考慮されないからだ。
今後設定する指標には、こうした要素を反映させる方針だ。厚労省は2018年度にも指標の方向性を固めたい考えで、「医師偏在の度合いを示すことによって、都道府県内で医師が多い地域と少ない地域が可視化されることになる」と期待している。
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