2018年度診療報酬改定に向けて急性期病床などの再編をめぐる議論が白熱したが、さらに重度な患者を受け入れるICUやHCUにはどのような課題があるのか。武居哲洋氏(横浜市立みなと赤十字病院集中治療部部長)とCBnews人気連載の筆者、井上貴裕氏(千葉大学医学部附属病院・副病院長・病院長企画室長・特任教授)がICUの集約化やチームによる術後管理をはじめ、各ユニットの「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の重症患者の該当者割合をどのように設定すれば、ICUなどを最も効果的に活用できるのかを話し合った。【司会・構成、大戸豊】(対談は2017年12月25日に実施)
■16年度改定は循環器内科に厳しく
井上 2年前の2016年度診療報酬改定は、ICUなどにどのような影響を与えたのか。
武居 循環器内科が中心のICUは、看護必要度の基準を満たすのが厳しくなった。心臓外科手術後の患者を受け入れるユニットで循環器内科の患者を一緒に診たり、HCUで対応したりしたところもある。
日本循環器学会の中には、看護必要度の項目について、「心電図モニターの管理」とは別に、不整脈の詳細なモニタリングを評価するよう求める声もある。確かに、致死性不整脈に対応するためには重要だが、現実的に別途評価が可能かどうかは判断が難しい。
井上 特定集中治療室管理料1を取得する病院が広がっているが、どこまで必要なのか。
武居 その地域で中心的なICUになろうという病院は取得して構わない。しかし、報酬が高いからと届け出ても、将来立ち行かなくなるのではないか。
特定集中治療室管理料1の看護必要度の要件は8割以上と厳しいので、病床稼働率は取得前より落ちる。また、1床当たり20平方メートル以上の設備要件を満たすために改築したり、病床を減らしたりするなら、経営的なメリットが本当に大きいのか疑問だ。
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