公立昭和病院(東京都小平市、518床)は地域での連携を強化しながら、経営改善を進めてきた。また、民間病院よりもガバナンスを利かせにくい状況の中でも、機構改革を進め、職員のコミュニケーションの充実を図っている。上西紀夫院長は、現場から上がってくる意見に期待したいと話す。【大戸豊】
■紹介率・逆紹介率が上昇し、黒字に転換
2008年に院長に就任した時、公立昭和病院は赤字に苦しんでいた。上西院長は、「地域でブランド力もなく、患者も医療機関も何が特長なのか、よく分かっていなかったはず」と振り返る。
地元の医療機関からの評判はあまり芳しくなかったようだ。「紹介した患者をなかなか帰さない」「電話をしても、たらい回しになった挙げ句、途中で切れた」など、レスポンスの良くない病院と思われていた。
当時、外来は1日1500人を診療するなど多忙で、電話を受ける余裕がなかったのも事実だが、紹介率・逆紹介率共に40%前後という数字が、地域と疎遠なことをよく示していた。
地域と連携しなければ患者は来ないことを実感した上西院長は、医師会を中心に地域の開業医との話し合いの場を設けた。顔の見える関係が広がると、紹介と逆紹介が増え、10年には地域医療支援病院に承認された。紹介率・逆紹介率の上昇とともに収益も伸び、12年には黒字に転換した。17年度上半期(4-9月)の紹介率は74.5%、逆紹介率は112.0%となり、外来も1日1000人程度となっている。
上西院長は、「連携を進めると、当院で受けるべき患者も増える。また、治療が終わった後に地域で患者を受けてくれるのもありがたい」と話す。
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