【社会医療法人祐愛会織田病院 看護師長 認知症看護認定看護師 市丸徳美】
織田病院(佐賀県鹿島市、111床)は、佐賀県南部医療圏にある一般急性期病院(7対1入院基本料DPC算定)です。地域では高齢化が進み、85歳以上の新規入院患者も10年前に比べて約3倍に増加し、今後も認知症を合併した入院患者が急増していくことは明らかです。今回、2014年にスタートした当院独自の「DCUプロジェクト」を紹介します。
第1回はDCU(Dementia Care Unit、認知症ケア専用区画)導入の経緯について、第2回はDCU開設後の取り組みの実際と効果、今後の課題についてお伝えします。
(1)DCU導入の経緯
多くの急性期病院では、認知症を合併した患者の対応に苦慮していると思います。急性期病院では、見知らぬ人が多数出入りし、夜遅くまで明るく、騒々しくせわしない環境は、認知症を有する患者にとって、劣悪な療養環境と言わざるを得ません。さらに、急性期病院のスタッフは、認知症に関する知識や経験が乏しいことも多く、正しい対応ができているとは言えません。そのため病状を悪化させたり、予後を悪くしたり、入院が長期化するケースも見られました。
医療者は実際、転倒・転落やルート自己抜去、頻回のコールなどで目が離せない認知症の方への対応に多くの労力を費やすため、他の急性期患者の看護に支障を来し、たびたび仕事を中断する必要もあるため、医療事故につながるリスクも高まります。
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