【久留米大学 特命教授(医療政策担当) 佐藤敏信】
前回お伝えしたように、2017年10月25日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会(以下、財政審)では、社会保障に関して、膨大な量と内容の資料が公表された。
一方、中央社会保険医療協議会(中医協)での議論も活発化しており、11月17日の総会では、入院医療等の調査・評価分科会での検討結果が報告された。本文28ページ、資料94ページにも及び、先の財政審同様、きめ細かい、しかも大量のデータであった。内容は種々の調査を基にした客観的、科学的なもので、財政審のようにまず「適正化ありき」という前提ではなかった。
分科会からの報告であり、検証的な内容だったので、具体的な点数や運用への反映は、もう少し先と思っていたが、その1週間後の24日の総会には、早くも厚生労働省案が提出された。これはこれで128ページにも及ぶ膨大なものだった。発表された範囲で言えば、当面の主戦場は7対1病棟である。10対1との関係を整理しつつ、大胆な提案がなされ=図1=、同時に「重症度、医療・看護必要度」、すなわちA、B、C項目の運用=図2=についても、新たな提案があった。
図1 一般病棟入院基本料(7対1、10対1)の評価体系(案)
中医協総会(11月24日開催)資料より
図2 一般病棟入院基本料(7対1、10対1)に係る論点(案)
中医協総会(11月24日開催)資料より
いずれにしても、診療報酬改定を前にしたこの時期には、重要な資料が出そろうもので、これらに先立つ11月8日には、医療経済実態調査の結果も公表され、財務省、日本医師会も巻き込んでちょっとした論争にもなった。
さて、こうした一連の資料について、個々の医療関係者が細部まで熟読し、分析することは当然だが、業界紙やネットニュースの解説も出始めている。最終の姿は来年2月上旬まで持ち越すと考えられるが、本稿では、現時点までの状況を大局的に捉え、とりわけ財務省がどう考えているのかを中心に解説する。
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