医療・介護業界の旬の言葉や仕組みを対話形式で解説するシリーズ「さっくり解説、医療・介護の旬の言葉」。今回は、「介護医療院」を取り上げます。
ケアマネジャーとして10年ほどのキャリアを持つ40歳代のBさんは、久しぶりに会った大学時代の友人で、フリーライターのDさんと何やら話し込んでいます。仕事はなくても、小説とマンガと映画と鳥のから揚げさえあれば、それでいいというDさん、たまたま新聞で目にした介護医療院という言葉に、感性を激しく揺さぶられた様子です。普段は、厄介な質問やお門違いなボケを華麗にさばき切るBさんですが、今日ばかりは、相手が悪過ぎるようで…。【ただ正芳】
Dさん:だからBちゃん! この介護医療院はどこにあるの? きっと自然豊かな土地にあるんだろうけど、早く教えてよ!!
Bさん:ちょっ…いきなり何よ!? 何で介護医療院は自然豊かな土地にあるのよ!
Dさん:だって、介護医療院は新しい形のサナトリウムでしょ? そして当然、そこには「●立ちぬ」も顔負けの文学チックな世界があるんでしょ? あ…もしかしたら、かわいい姉妹が乗った巨大な猫型妖怪バスが現れることで有名な病院もある!? あるよね!!!
Bさん:こ、このオタクライター! おのれはいい年のくせに、どういう意味不明の妄想を膨らませとるんじゃ!!
Dさん:え? だって、どう考えたって介護医療院という名前からは、「古き良き昭和」が香り立っているよ♪ そして古き良き昭和で医療、といえば、サナトリウム文学でしょう!
Bさん:(いかん。ここらできっちりトドメを刺さないと…)あのねえ! 介護医療院はまだ、この世に一つもありません。来年4月に誕生する介護保険サービスです。それから、サナトリウムとは関係ありませんからぁ!!
Dさん:…なんだ…。じゃあ、帰るね。
Bさん:ちょっと待たんかい! 散々人を振り回しておいて、ないとなったら、途端にそれかい!
Dさん:じ、じゃあ聞くけど、この平成の御世に産声を上げたサービスだといふのに、何故に左様にも麗しき、時代がかった御名を賜ったのでせうか。
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