ASK梓診療報酬研究所の中林梓所長は、2018年度診療・介護報酬同時改定に向けて、地域を俯瞰する目を持つことが重要と訴える。次回改定から病床の機能分化が進み始める中で、唯我独尊を通せば経営が難しくなるのではと警鐘を鳴らす。例えば、地域包括ケア病棟を持っているなら、地域の高齢者にどうすれば自院を利用してもらえるのかを考えたり、「地域の患者は絶対に寝たきりにさせない」といった気概を持って取り組んだりすることが地域との良好な関係をつくるという。【大戸豊】
中林氏は9月23日のCBnewsセミナー「18年度同時改定を乗り越え、生き残るために」で、同時改定の注目点・病床転換の成功例/失敗例・地域包括ケア病棟、介護医療院の活用法などについて解説する予定だ。
中林氏は、18年度同時改定では、地域包括ケア病棟はそのネーミングにふさわしい機能を担う病院が評価されるとみている。
地域包括ケア病棟はこれまで、7対1入院基本料の「重症度、医療・看護必要度」の基準を維持したり、平均在院日数を抑えたりするために活用されるといった傾向が目立った。中林氏は厚生労働省も基本に立ち返り、何のための病棟なのかを明確にしていくとみている。
注目されるのはサブアキュート機能であり、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などの施設系、在宅からの患者の受け入れを増やしていくことが考えられる。
無床の診療所に通院する患者の高齢化が進んでいるが、その高齢者が独り暮らしだったり、認知症だったりして、具合が悪くなった時も誰も見守る人がいないような場合、頼れるのはサブアキュート機能になる。
中林氏は「今はそのような人たちを最初に7対1や10対1の病棟で受け入れているが、7対1は家族の介護力に頼れない人が、軽度の急性増悪となった場合にフォローするための病棟なのか」と疑問を呈し、高齢者が安心して地域で過ごすために、地域包括ケア病棟として何ができるのかを考える時期に来ていると話す。
(残り1734字 / 全2564字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】