【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■病院経営の改善策を考えられる人材の育成が重要
2016年度の診療報酬改定直後に比べれば、改定から1年数カ月が経って、病院の対応もだいぶ落ち着いてきた。人員要件などがかなり厳しく設定された退院支援加算や認知症ケア加算等の届け出や算定も一段落した感がある。しかし、中央社会保険医療協議会(中医協)では、既に18年度の医療・介護同時改定に向けた議論が始まっており、一息つく暇もなく、議論の動向を見守りながら、自院の対応を検討する時期となった。
経営環境が目まぐるしく変わる病院経営において、診療報酬制度に精通していたり、自院の課題を把握し、対策を取れたりする人材の確保・育成は極めて重要である。
病院の医事請求業務では、OJTを主体に上司から部下へ、部下から新人へと継続的に人材育成が行われているのではないか。また、地域での医事勉強会などを通じ、情報が積極的に共有されているケースも多い。その一方で、経営課題の把握、対策の立案、実施、フォローアップといった一連の流れに主体的に取り組める人材は、多くの病院で不足しているように感じる。また、このような業務は「何でもできる人」に頼っていることが多く、病床の規模によらず、たまたまいい人がいれば、うまく業務が回っていることも珍しくない。このように、属人的に経営課題に取り組んでいる病院が少なくないのが現状である。
環境変化のスピードを考えると「育成している暇はない」という気持ちも理解できなくはない。しかし、病院経営において理解しておくべき範囲(≒自院・自法人の直接的な業務範囲に加え、連携しているサービスの範囲も含む)は医療のみならず、介護やその周辺サービスまで広がっている。もはや経営課題の把握・対応を個人に依存し続けるのはリスクでしかなく、組織的な取り組みが望ましいだろう。
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次回配信は8月2日5:00の予定です
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