病院や有床診療所が自院の役割などを申告する「病床機能報告」の回答率を100%にするため、厚生労働省は10月までに、各都道府県に対策を講じさせる方針だ。病院などの管理者には報告が義務付けられているが、昨年度は1割弱から報告がなかった。医療機関が報告しなかった理由や、それを踏まえた対策を、複数回にわたって厚労省が都道府県から聴取し、都道府県側の取り組みを促す。【佐藤貴彦】
病床機能報告は、一般病床か療養病床を持つ入院医療機関の管理者が年1回、自院の役割や今後の展望、実際に提供している医療の内容などを都道府県に報告する制度。2014年度に始まり、今年度が4回目になる。
休床中などの場合は報告が免除され、昨年度は1万4254施設が対象だった。2種類の報告様式をそれぞれ提出する必要があるが、自院の機能などを示す「様式1」を503施設(3.5%)、医療の内容などを示す「様式2」を1090施設(7.6%)がそれぞれ出さなかった=グラフ=。
報告結果は、将来の需要予測に合わせて医療提供体制を再編する「地域医療構想」の実現に向けて、現状を確認する際などに使われる。対象すべてから報告が集まらないと、提供体制の再編に向けた地域の関係者同士の話し合い(地域医療構想調整会議)が進まない可能性がある。
厚労省は、都道府県ごとに担当職員を既に決めており、報告しない医療機関があった理由などの聴取を、早ければ月内にも開始する。
■公的医療機関すべてで新改革プラン策定?
また同省は、都道府県ごとの地域医療構想調整会議の進ちょく状況も、定期的に確認する方針だ。開催日のほか、その日の会合で合意に至ったこと、話し合いを踏まえた公立病院や特定機能病院の役割などの把握を目指す。
(残り869字 / 全1591字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】