社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・慶大名誉教授)は24日、認知症施策の推進について議論した。この日、厚生労働省は、認知症施策にかかわりが深い認知症対応型共同生活介護(GH)や認知症対応型通所介護(認知症デイ)の現状や課題を説明。GHについては、医療機関との連携強化や口腔ケアへの対応の充実を見据えた論点を示した。【ただ正芳】
認知症の人が適切な支援の下、共同生活をすることで、能力に応じた自立した生活の実現を目指すGHは、全国に1万3015カ所の事業所があり、約19万人が利用している(昨年4月現在)。
ただ、2001年には2.18だった利用者の平均要介護度が昨年には2.79になるなど、利用者の重度化の進行と、それに伴う医療ニーズがある利用者の増加が課題とされている。特に認知症の要介護高齢者では、歯周病などに罹患している人が多く、歯科との連携の必要性も指摘されていた。
利用者の医療ニーズが高まりつつあるGHだが、現在の制度では看護職員の配置は義務付けられていない。ただし国は、利用者の健康管理などのために病院や訪問看護ステーションなどと連携した場合に算定できる「医療連携体制加算」を設けることで、GHと外部の医療機関との連携を促している。厚労省の調査によると、同加算を算定しているGHは、76%余りに達しているという(15年11月現在)。
こうした状況を踏まえ、厚労省は、医療機関との連携や口腔機能の管理といったGHにおける医療ニーズへの対応などを今後の論点として提示した。
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