昨年春の診療報酬改定に伴い、急性期の大規模病院を中心に診療単価が伸びる一方、材料費などの費用が膨らんだ結果、赤字の病院の割合は増えたことが、日本病院会(日病)が改定後に行った調査で分かった。担当した日病の「診療報酬・病院経営検討委員会」の永易卓委員(病院経営管理士会会長)は、「これまで500床を超える病院の経営は安定していたが、ここ数年、赤字に転落する傾向が強くなっている」と話す。【敦賀陽平】
日病では毎年、会員病院の6月単月の診療収益や延べ患者数などを集計し、前年同月からの収益の変化などを調べている。今回の調査は昨年7-9月、会員2460病院を対象に実施。有効回答を得た730病院のうち、昨年度からDPC対象病院となった病院などを除いた703病院の収益について分析した。
703病院を病床区分別で見ると、「一般」が75.8%を占め、開設主体別では、「自治体」(29.3%)が最も多く、以下は「医療法人」(27.3%)、「その他公的」(23.2%)などの順。一般の病床規模は、「500床以上」(26.3%)がトップで、次いで「300-399床」(20.6%)、「100-199床」(17.3%)などと続いた。
一病院当たりの診療収益を調べたところ、入院と外来で共に増益だった病院は全体の57.6%を占め、前回に比べて2.32ポイント上昇。増益の割合は、病床規模が大きいほど高くなり、「500床以上」では7割を超えた。病床区分別では、「一般」が前回から2.54ポイント増える一方、「療養・ケアミックス」では0.02ポイント減少した。
また、入院患者一人当たりの一日の診療収入(単価)が高くなった病院は全体の61.2%に上り、前回から1.85ポイント増えた。一方、外来の単価が上昇した病院の割合は70.1%(前年比4.00ポイント増)に達し、入院と外来いずれも、病床規模が大きくなるにつれて、単価が上がった病院の割合が増えた。
■経常損益、赤字病院は4ポイント増
損益の設問に回答した635病院の経常損益を見ると、今回の調査で「赤字」と回答した病院は58.3%(同4.0ポイント増)に上り、「減益」の病院は全体の56.5%を占めた。また、医業損益が「赤字」だった病院は全体の65.8%(同3.4ポイント増)で、57.8%の病院が「減益」だった=グラフ=。
(残り1988字 / 全2960字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】