【虎の門病院事務部次長 北澤将】
電子カルテを中心とした病院情報システムには、日々膨大な記録が登録される。病院情報システムはセンシティブ情報の塊であるため、最も大きなリスクとして語られるのは、セキュリティーやハードウエア障害が中心だろう。しかし今後、電子カルテの「記述自体」がリスクとなるかもしれない。
■保存期間の延長
高機能と低価格を両立させたパッケージ製品が登場し、電子カルテは一般化した。紙カルテ時代には、医療機関は保管義務期限切れに伴ってカルテを廃棄していたが、それも電子カルテの一般化で必要なくなりつつある。今後さらにサーバーの容量増強やクラウド化が進めば、電子カルテのデータは、将来的に永久保存になる可能性もある。
■開示の終焉
少し前まで、患者からのカルテ開示の要求は、”紛争の一段階目”としての意味合いが強く、開示要求もごく限られていた。しかし今や、「単なる記念」として申請するケースをはじめ、さまざまな理由での開示が増えている(B型肝炎訴訟も背景にある)。
医療機関は開示申請を受けた場合、特殊な事例を除いて原則としてカルテを開示する。さらに行政官庁からの開示・照会も、最終的には官庁経由で患者さんの目に触れると考えておきたい。こうした現状を見ると、カルテはもはや「開示」するものではなく、事実上医療機関と患者さんの間で「共有」されるものと言えるだろう。医療機関が、“閲覧に堪え得るカルテ”にしておくことは必須である。
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