日本介護経営学会はこのほど東京都内で総会を開催した。記念シンポジウムの中で田中滋会長(慶大学名誉教授)は、高齢者が地域社会に参加しながら、要介護状態になるのを遅らせることが介護保険制度を維持していく上での一番の答えと述べた。【大戸豊】
田中会長は、日本では50年ほど前までは、いわゆる「健康寿命」が終わると、1、2年のうちに亡くなることも多かったため、要介護状態は大きな問題とならなかったが、寿命が延びることで、亡くなるまでの“非健康”の期間も延びたため、要介護の問題も大きくなったと説明した。
さらに、介護保険制度のスタート当時、約250万人だった要介護者は、現在では600万人を超えるなど、要介護者が急増する中、さまざまな介護サービスが生み出され、介護事業者も必死にサービスを提供してきたものの、「要介護者を増やさないための努力や仕組みは足りなかった」と述べた。
そして、団塊世代が高齢化し、「虚弱」の状態に向かっていく今後10年の対策が鍵になるといい、「介護サービスは非常に意味があるが、それだけでは足りない。高齢者人口の伸びがあまりにも大きいので、もっと攻める必要がある」と述べた。
「要介護状態になってしまうのを防ぐことは難しいが、要介護状態の期間を短くすることはできる」。これがシンポジウムで田中会長が強調した点だ。
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