4月以降、2018年度の介護報酬改定に向けた議論が本格化する。それに先立ち今回は、改正介護保険法案の注目ポイントについて、少し掘り下げる。まずは、何かと話題になっている自己負担割合3割の一部導入の影響について考えたい。
■一部3割導入、影響は小さいが…
介護保険制度において自己負担割合を決定する基準は、前の年の所得だ。年収280万円以上(独居)が2割負担、そして来年8月からは特に所得の高い年収340万円以上(独居)の利用者が3割負担となる。3割の負担が求められるのは全国で12万人ほどいるといわれる=図=。
ただし、利用者全体から見れば3%、つまり100人のうち3人だ。
さらに高額介護サービス費の適用がある以上、たとえ3割負担に該当しても、実質的な支払上限額は4万4400円となる。その上、該当者はもともと所得が高い人たちだ。以上の状況を考えれば、3割負担が導入されたからといって、サービスの利用を控える人が大量に現れる可能性は極めて低い。
来年8月から始まる一部利用者の自己負担3割導入に限定していえば、介護事業者は何も心配することはないと断言できる。
■不十分だった介護保険部会での審議
しかし、問題がないわけではない。まず挙げられるのは、導入の是非に関する社会保障審議会介護保険部会での審議が十分だったとは言い難い点だ。
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