【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 准教授 京極真】
Q. 多職種連携が大切なのは分かっています。でも、意見が合わない人と話すと、すぐにカッとなってしまって冷静に話を進めることができません。いろんな人と連携する上で、それでは駄目だとは思っていても、つい…。 |
1)感情は否定も肯定もしない
2)感情のピークをやり過ごす
3)状況と目的にフォーカスする
-が基本です。
■感情よりも理性が重要? (残り2199字 / 全3029字) 次回配信は4月14日5:00を予定しています
この問題に対処するためには、「理性/感情」という区分が背景にあって、「理性は感情よりも優先されるもの」という図式があると認識する必要があります。私たちには理性と感情という異なる働きがあって、「立場の違う人たちと連携するには、理性的に振る舞うことが大切である」というわけです。
確かに物事に感情的に反応すると、ストレスが増大したり、人間関係がこじれたりしがちです。すると、多職種連携はうまく行えない。だから、感情よりも理性を優位にした方が良い、という結論に至ります。経験的に言えば、これは大体合っています。
しかし、感情よりも理性を優先すると、自身が感じたことを否定することになるので、実はかえって感情的になりがちです。原理的に言うと、人間存在の本質は感情が根本的に規定しています1)。だから、感情の否定は自己否定の感覚をもたらしますし、それが契機になってかえって感情的になりやすくなるのです。
したがって、冷静に対応したい人は、背景に「感情よりも理性が重要」という思い込みに気付き、捨て去る必要があります。あなたが感じたことは、そう感じちゃったんだから否定してもしょうがない。とりあえず、「今、イライラしているなあ」と感じるままに感じること。それが、信念対立克服の第一歩になります。
とはいえ、慣れ親しんだ思い込みを捨て去るのは至難の業です。もっとほかに簡単な方法はないのでしょうか。
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