今年春の診療報酬改定では、回復期リハビリ病棟(回リハ病棟)の患者のADL(日常生活動作)を測るアウトカム指標として、FIM(機能的自立度評価法)が新たに導入された。一定の基準を下回ると、リハビリ料が入院料に包括される厳しい内容だ。同じくリハ機能を担う地域包括ケア病棟を持つ病院が1500施設を突破する中、地域での「回復期」としての立ち位置が改めて求められている。現状を取材した。 |
「回リハ病棟が空いているようだ」―。ここ最近、医療関係者を取材すると、こうした声をよく耳にする。回リハ病棟に導入されたアウトカム評価に対応するため、病院側が入院患者を制限した結果、空床が出ているという。今回の制度改正が行われた背景には一体、何があったのか。本論に入る前に、改定までの動きを振り返り、その意味について改めて考えたい。【敦賀陽平】
昨年12月の中央社会保険医療協議会(中医協)の総会。厚生労働省は、回リハ病棟の入院患者に一日6単位を超える疾患別リハビリを行う場合、一定の基準に達しなければ、リハビリ料を入院料に包括することを提案した。
疾患別リハビリの算定日数は一日6単位が上限だが、同病棟の入院患者については、一日9単位までの算定が認められている。中医協の昨年度の調査によると、回リハ病棟入院料1と同入院料2を届け出る病棟のうち2割前後で、一日6単位超のリハビリを提供する患者の割合がいずれも9割以上に達した。
ところが、脳血管疾患等リハビリを行う病院で、回リハ病棟に入院する患者の10日間のFIM得点を調べたところ、一日6単位超のリハを提供する病院の一部では、それを下回る単位数の病院よりも、リハの効果が小さいことが分かった。
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