岡山県真庭市にある金田病院(社会医療法人緑壮会)では、川を隔てた落合病院(医療法人社団井口会)と15年前から連携を進めてきた。昨年11月からは地域医療連携推進法人の設立も視野に入れながら、協業のあり方を検討している。金田道弘理事長は、人口がさらに減る中、地域の医療機関が“共倒れ”にならないためにも、スクラムを組んでいく必要性を訴える。【大戸豊】
動き始める地域医療連携推進法人(上)(2015/11/17)
連携のアイデア、できるだけ支援したい(2016/7/28)
川を挟んで400メートルの距離にある2つの病院は、50年にわたって競合していたことから、住民からは「川中島の戦い」と揶揄(やゆ)された。しかし、2002年から連携を始め、医療機能を相互補完する関係になっている=表=。
金田病院提供 中央を流れるのが旭川
■「連携以上合併未満」の仕組みが不可欠に
真庭市では、十数年前から急性期医療を担う病院運営の厳しさが既に表れ始めていた。そこで02年に近隣の河本病院も交えて「落合3病院長会」を結成し、毎月会合を重ねた。そんな中、09年には隣の津山市にある津山第一病院が民事再生を受け、地域医療に暗い影を落とした。
翌10年には、落合病院と金田病院の経営幹部で、連携推進協議会をスタートさせ、11年には病院統合に関する合同勉強会も行ったが、勉強会後統合に反発する声が上がった。時期尚早だった。そのような中、同年5月に河本病院が破産する。
金田理事長は、長い間競合してきた経緯もあるが、民間病院の統合は非常にハードルが高いと感じたと話す。今後生き残って、職員と地域医療を守るには、さらに踏み込んだ効率化が欠かせず、「連携以上合併未満」の仕組みを待ち望んでいたという。
昨年9月、地域医療連携推進法人制度の創設を含む改正医療法が成立したことを受けて、落合病院と金田病院は11月に連携協力推進協定を締結した。地域医療連携推進法人の設立も視野に、一般社団法人の定款を検討している。ただし、いずれもつくるとは決まっておらず、勉強はしようと毎月協議を重ねている。
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