介護事業者が自費の保険外サービスを提供するケースは増えており、それ自体は珍しくない。日本総合研究所が2014年3月、介護保険の居宅サービスを提供する約6000法人を対象に行った調査によると、回答のあった676法人のうち約半数の332法人が保険外の生活支援サービスを実施していた。【烏美紀子】
ただ、その多くは、「既存の利用者を対象に、介護保険が適用されない範囲を補完するサービス」だ。新規の利用者を獲得したり、日常の生活支援とは異なる事業を展開したり、「介護報酬だけに頼らない収益モデル」という例はまだ少ない。
介護経営コンサルタントの原田匡氏(ケアビジネスパートナーズ代表取締役)は、「『介護報酬だけでは生き延びられないから、保険外サービスも』という発想はもちろん悪いわけではないが、次に進むためには、もうワンステップ。発想の切り替えが必要です」と指摘する。それは、顧客目線でサービスの価値を見詰め直す考え方だという。
「どちらかというと、介護はサービスを提供する側の都合に利用する側が合わせてくれているサービス形態であり、事業者側もその発想に慣れ切ってしまっています。良いか悪いかは別にして、ほかのサービス業と比べたとき、そこに問題意識が生まれてもいいはず」
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