【特別養護老人ホーム・デイサービスセンター緑風園総合施設長・菊地雅洋】
介護施設での虐待について、職業に伴うストレスの問題として論じられることがある。確かに介護という職業は、他人の感情と直接向かい合わねばならないが故に、その感情に巻き込まれ、精神的負担を感じることも多く、ストレスは決して少なくはない。
■「ストレスが虐待を生む」という誤解
だが、だからといって、全国約177万人の介護職員の大多数が、ストレスのために虐待行為に走っているという事実はない。多くの介護職員は、何らかのストレスを抱えていたとしても、それ以上に介護という職業に使命感や誇りを感じ、やりがいを感じて、利用者の笑顔を求めて仕事を続けている。介護の現場のマジョリティーは、間違いなく虐待と無縁の仕事をしている職員だ。
とかくストレスと虐待を安易に結び付ける考え方には、違和感を覚える。もちろん、介護事業者にとっても、ストレスチェックや、それに伴うメンタルヘルスケアは大切な取り組みだ。だが、それはあくまで職員の心身両面の健康を守り、離職を防ぐという点で重要なのだ。利用者に対する虐待防止につなげる目的で行うものではない。
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