団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向け、在宅医療の整備が急ピッチで進められている。11年に始まった「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」の制度もその一環だ。サ高住の登録戸数は、昨年末時点で19万1871戸。既に地域によっては飽和状態で、建てれば経営が成り立つ時代は終わりつつある。そのような中、看取りを強化したサ高住を展開するカイロス・アンド・カンパニー株式会社/ナースコール株式会社代表取締役の高橋正社長に、サ高住の成功の秘訣を聞いた。【坂本朝子】
高橋社長が携わったサ高住の特徴は、50-70平方メートルと夫婦でも過ごせる広さのものをラインナップに加えたことだ。多くのサ高住は、居間や食堂などが共用で居室面積が最低基準の18平方メートルのものが主流だが、幅広い間取りのバリエーションを設けた。また、認知症や医療ニーズなどで住み続けることが困難になった場合に連携できるグループホームや特定施設、あるいは医療型サ高住などを近隣のエリアに展開。自立型から終末期を支える医療型まで複数のサービスタイプを取りそろえた。このハードとソフトの違いの組み合わせで、かなりのバリエーションをそろえることになり、高齢者へ幅広い選択肢を提供できたことが成功に結び付いた。
「元気なアクティブシニアと終末期の高齢者とでは、部屋の広さに対するニーズも期待されるサービスも違う。高齢者をひとくくりに考えるのではなく、ライフステージごとに合った選択肢を用意すべきと考えた」と、高橋社長は当時の思いを振り返る。
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