在宅分野で働くケアマネジャーのうち、約6割はケアプランの有料化を行うべきでないと考えていることが、淑徳大の結城康博教授の調査で分かった。昨年8月から導入された自己負担2割の所得基準については、ケアマネや介護従事者のおおよそ半数が現状維持を望んでいることも分かった。【ただ正芳】
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結城教授は、昨年10月から12月にかけて、千葉県や埼玉県、栃木県のケアマネジャーや介護職員らにアンケート調査を実施。在宅分野で働くケアマネジャー275人を含む369人から有効回答を得た。 在宅の現場で働くケアマネジャーを対象とした質問のうち、「在宅ケアマネジメント支援の自己負担導入について、どう考えるか」では、58%のケアマネジャーが「自己負担導入は反対」と回答。次いで多かったのは「自己負担導入は賛成」の17%だった。そのほかでは「特定事業所加算の自己負担は反対だが、本体の給付部分は賛成」が13%、「わからない」が12%だった。一方、在宅のケアマネジャー以外の94人に同じ質問をした結果では、「自己負担導入は賛成」が33%で最も多く、「自己負担導入は反対」は29%だった。 この質問に関する自由回答では、「利用者の家計負担が増し、結果的にサービスの利用の手控えにつながる」「利用者の意向が強くなり、適切なケアマネジメントが難しくなる」といった否定的な意見が集まった一方、「ケアマネ自身が選ばれるため、質が向上して賛成」「財政が厳しい中、自己負担導入は当然」とする意見もあった。 結城教授は、在宅ケアマネジメント支援への自己負担導入について、短期的には介護保険財政の新たな財源となり得るが、中長期的に考えると無駄な給付費を生むことになり、かえって財政的にマイナスになってしまうことも考えられると指摘。さらに今回の調査では、在宅のケアマネジャーの多くが反対する一方、それ以外の介護職員では賛成する意見が多かったことから、「在宅ケアマネジメント支援への自己負担導入については、財政効果も含めて詳細に分析した上で、慎重に検討する必要がある」としている。
■2割負担の対象者、拡大すべきは19%
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