厚生労働省は29日、中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で、医療保険が適用されないノロウイルスの検査などを保険診療と併せて実施できるよう、ルールを見直す案を示した。原則として、保険適用外の検査などを併用すると、本来は保険が適用される診療の費用まで患者が全額負担することになるが、ノロウイルスの確定診断を得て会社に報告したい患者のニーズに応じて例外を設けるとした。【佐藤貴彦】
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ノロウイルスには有効な抗ウイルス剤がなく、その検査は現在、体力が弱い3歳未満の乳幼児や65歳以上の高齢者などに限って保険が適用される。
保険診療のルールでは、安全性や有効性が確認されて保険適用になった治療法と、それ以外の治療法との併用が原則禁止されており、併用した場合は保険外の自由診療になる。ただ、保険診療の利便性を高める予約診療サービスなどは、例外的に保険診療との併用が認められる。
厚労省は昨年春に、保険診療と併用できるサービスの拡大に向けてパブリックコメントを募集。寄せられた意見を61項目に分け、それぞれの対応方法を検討してきた。保険適用外のノロウイルスの検査などについては、保険診療と併用可能なサービスに追加するよう医療機関が提案したという。
そのほか、同省の対応方法の案によると、保険診療のルールで決められた回数を超えた腫瘍マーカー検査について、保険診療と併用できる種類を増やす。患者の不安の解消に必要な場合に限り、一部の検査の実施が認められているが、安全性などに問題がないものを追加する。さらに、治療で医療機関に長時間滞在する外来患者が快適に過ごすための個室料金の設定を認める。
また、予防投与する抗インフルエンザ薬タミフルの費用や、当日キャンセルの検査費用、院内託児所の使用料、がん患者へのかつらのレンタル代などについて、保険診療と直接関係がないサービスの費用に当たるとして、医療機関が患者から徴収できることを明示する。
29日の中医協総会では、議論の時間が足りないなどとして同省の提案に委員が慎重論を唱えたことから、改めて検討することになった。
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