厚生労働省の「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」が21日、東京都内で約1年ぶりに再開された。この日は、EPA(経済連携協定)の枠組みで来日する介護福祉士候補者の受け入れと定着を促進する上で課題や改善点を探るため、国際厚生事業団やEPAの枠組みで外国人材を受け入れた事業所からのヒアリングが行われた。検討会では次回の会合で論点整理をし、年度内をめどに意見を取りまとめる方針だ。【ただ正芳】
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同検討会では昨年2月、技能実習制度に介護を職種追加する場合、▽入国時の要件を、基本的な会話を理解できるとされる日本語能力試験「N4」レベルにする▽実習2年目には1段階上のN3(日常場面での日本語をある程度理解できる)に移行する-などの要件が必要とする中間取りまとめを公表した。 これを踏まえ、政府は「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」と、外国人の在留資格を介護にも広げ、国内で介護に従事できるようにする「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」を国会に提出した。両法案は21日現在、衆院での審議が続いている。 中間まとめを公表してから1年ぶりとなる同検討会は、2008年度以来、EPAに基づき介護福祉士候補者を受け入れている制度について、より有効に運用するための改善点を明らかにする目的で開かれた。 ■資格取得者の家族を意識した改善案も この日のヒアリングでは、受け入れの調整機関としての役割を担う国際厚生事業団の関係者や、EPAで来日した介護福祉士候補者を実際に受け入れている医療法人と社会福祉法人の関係者が意見を述べた。 このうち、国際厚生事業団の関係者は、制度をさらに円滑に運用するための案として、1施設あたりの年間の受け入れ数が2人以上となっている点を、1人から認めることや、介護型有料老人ホームなどでの受け入れも認める点などを提案した。また、候補者が介護福祉士の資格を取得した後の定着促進のための具体策として、資格取得者が母国から家族を呼び寄せる際の手続きの迅速化や、その家族の日本国内での就労制限の緩和などを挙げた。 EPAの枠組みを利用し、外国人人材を受け入れた医療法人や社会福祉法人の関係者も、今後の改善策として、受け入れ対象施設を拡大することや、資格取得者の家族の就労に関する規制の緩和を提案した。
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