損害保険大手の「損保ジャパン日本興亜ホールディングス」(SOMPOホールディングス)は18日、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や介護付き有料老人ホームなどの運営を手掛けるメッセージに対し、株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。メッセージへの出資比率を3.5%から51%以上に引き上げ、子会社化する方針だ。同社は今月1日、有料老人ホームの運営などを手掛ける「ワタミの介護」を完全子会社にしており、TOBが終了すれば、売上高ではニチイ学館に次ぐ業界2位の規模となる。【ただ正芳】
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メッセージは、「アミーユ」などのブランドで、介護付き有料老人ホーム183施設、サ高住125棟を運営。また、訪問介護など在宅の高齢者を対象とした事業所も約400カ所運営している。2015年3月期の売上高は、介護業界では3位の789億3200万円だった。今年3月には、特に在宅分野でのサービス充実を目指し、SOMPOホールディングスと資本・業務提携している。
しかし、昨年から今年にかけて、メッセージの子会社が運営する川崎市や大阪府豊中市の有料老人ホームでは、職員による利用者への虐待が相次いで発覚。また、川崎市の有料老人ホームでは、入居者の転落事故も発生したことから、今年11月には厚生労働省から業務改善勧告が出された。
一方、SOMPOホールディングスでは今月に「ワタミの介護」を完全子会社化し、社名も「SOMPOケアネクスト」に改めるなど、介護業界への進出を加速させていた。こうした中、SOMPOホールディングスでは今年9月、TOBによる連結子会社化をメッセージに提案。メッセージ側もその提案に同意し、TOBの実施が決まった。
■介護を生保や損保に並ぶコア事業に
今回の決定を受け、SOMPOホールディングスでは、介護を生命保険や損害保険と並ぶコア事業と位置付け、取り組みを強化する方針だ。具体的には、▽介護サービスの品質向上に向けた内部管理体制の構築▽ICT・デジタル技術の利活用▽業務共通化・一元化による生産性の向上▽介護職員の処遇改善と採用・育成の促進▽新規事業創出-などを目指すとしている。
■社名は「SOMPOケアメッセージ」へ
また同社は、メッセージの適切な運営体制の確立を目指し、来年6月に開催される予定の同社の定時株主総会で、SOMPOホールディングスが指名する複数の人物を取締役や監査役とすることを検討する。さらに、同総会でメッセージの社名を「SOMPOケアメッセージ」に変更する方針も示す。
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