このほど横浜市で開かれた第25回日本医療薬学会では、超高齢社会における慢性期医療と薬剤師の役割をテーマにしたシンポジウムが行われた。各シンポジストは、ポリファーマシー対策や薬剤師が持つべき介護予防の視点、終末期の対応などの視点を示し、今後薬剤師に求められる役割を話し合った。【大戸豊】
八尾市立病院(大阪府)事務局の小枝伸行参事(薬剤師)は、都市型の公立病院の役割について私見を述べた。
都市部の自治体病院は地域の急性期を担ってきたが、小枝氏は、今年3月に公表された「地域医療構想策定ガイドライン」では、都道府県による介入が民間病院よりも強いことなどから、変化を迫られているという。
ただ、同院のある中河内医療圏では、民間病院が高度急性期を担うケースが少ないといい、小枝氏は公立病院の高度急性期が削られた場合、誰が機能を担うのかも視野に入れ、地域医療構想を進めてほしいという。
民間病院では、医療・介護を組み合わせた複合的な組織づくりに力を入れてきた経緯があることを挙げ、小枝氏は、在宅医療や慢性期医療を民間病院が担いつつ、公立病院がそのような病院をバックアップするほか、小児救急など、民間で実施困難な医療を担うことが望ましいとした。
小枝氏は、患者が地域に帰れるように、地域での連携体制の構築は大きな課題としつつ、都市部の公立病院は急性期を維持しつつも、緩和ケアなどの地域に必要な機能を整備することで、その地域を守ることができるのではないかと述べた。
■高齢者のポリファーマシー対策には「オーダーメイド治療」を
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