第14回日本医療経営学会学術集会・総会がこのほど東京都内で開催され、「若手経営者が考える病院経営」と題したシンポジウムが開催された。6人のシンポジストが、それぞれの地域に根差した医療・介護経営のあり方について語った。【大戸豊】
調布東山病院(東京都調布市)の小川聡子院長(医療法人社団東山会理事長)は、同院が目指す「生活支援型急性期病院」について紹介した。
小川院長は、「生活支援型急性期病院」について、一次医療圏の急性期に対応し、多職種協働が機能している病院と説明。高齢化で増加していく疾病(肺炎、脳血管疾患、骨折、認知症、サルコペニアなど)に対応することから、内科に強いことも特長で、総合診療医にとっての活躍の場といえる。今後高齢者人口がさらに増加する東京では、一次医療圏内だけでも調布市でいえば人口22万人と多く、地域に近いという点で、十分なニーズがあるという。
高齢化の進展で肺炎患者の増加が予想されるが、小川院長が自院のデータを調べたところ、入院から数日は、医療資源投入量も高度急性期のレベルにあり、その後再重症化するなど、症状が不安定な高齢者も見られるという。さらに誤嚥性肺炎については、回復期程度まで状態が安定するのに、入院から10日程度かかっているという。
小川院長は、患者の早期退院を促すには、質の高い総合診療に加え、急性期リハビリで廃用症候群を食い止め、多職種が協働し、ADLを残しながら退院させることが必要とした。
ただ、このような医療を提供するには、病院では7対1水準のマンパワーが必要という。同院では地域包括ケア病床の導入も検討したが、一般83床という規模(このほかに透析66床)では、機動性が確保できないことから、導入を見送った。もしどのベッドでも、地域包括ケア病床として利用可能になるならば、小規模病院での届け出が進むと見ている。
小川院長は、生活支援型急性期病院は、病院の内外で多職種が協働し、地域に帰すというフィールドを持っており、総合診療医の教育病院としての機能も期待できるとした。
■住民の自立と支え合いを促す
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