2016年度診療報酬改定に向けた議論が中央社会保険医療協議会(中医協)で本格化する中、議論を主導してきた委員ら5人が29日付で退任する。28日の総会では、それぞれがあいさつし、報酬改定に向けた思いなどを語った。【佐藤貴彦】
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29日付で退任するのは、診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)と長瀬輝諠委員(日本精神科病院協会副会長)、支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会副会長)、花井圭子委員(連合総合政策局長)、田中伸一委員(全日本海員組合副組合長)。
鈴木委員は、超高齢化社会を乗り切るためには既存の診療所や中小病院といった医療資源を活用する必要があると強調。さらに、「専門医の開業医が存在するわが国においては、イギリス型や北欧型の家庭医、GP(の導入)はあり得ない。強行しようとすれば、現場の大混乱と国民の強い反発を招く」と述べた。
白川委員は、「中医協は日本の医療提供体制を、いかに安全で効率的で国民にとって有益な仕組みにするかということを議論する場。スタンスとか問題意識が若干ずれることがあり、白熱した議論になることもあるが、(すべての委員の)目的は一緒だ」との認識を表明。任期中、激論を交わした委員らに謝意を示した。
鈴木委員と白川委員は、各側を代表して意見を述べることが多く、この日の総会でも地域包括ケア病棟の評価をめぐって応酬を繰り広げた。16年度改定が刻々と迫る中、新任の委員がどのような主張を展開するのか-。次回の総会が注目を集めそうだ。
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