とある地方都市にあるキホンノキ病院では、病床機能報告制度の結果を基に、急性期から回復期への転換を検討しています。資金調達手法に詳しい新人職員のキソしろうさんは、事務長からヘルスケアリートについて聞かれ、病院の不動産流動化について説明します。
病院資金調達キホンのキ(1)-調達方法を決める前に確認すべきポイントは
病院資金調達キホンのキ(2)-調達する方法にはどんなものがあるの?
事務長 国土交通省が、病院の不動産を対象とする「リート(REIT)」のガイドラインを策定したとニュースになっておる。リートというのは、何じゃったっけな。
キソしろう リートは「Real Estate Investment Trust」の頭文字を取ったものですね。直訳すると「不動産投資信託」になります。投資手法の一つで、不動産を長期間保有し、その賃料収益などの分配を受ける仕組みです。
事務長 なるほど。病院も、投資して収益を上げる時代になったのかのう。
キソしろう いやいや、病院は投資の対象になるのです。
事務長 ということは…もしかして、病院の建物を誰かに売り渡すということか。
キソしろう そうです。不動産を売却した後も、新しい持ち主に賃料を支払いながら、病院を運営し続けることができます。こうした手法を不動産流動化といいます。
??? 病院の建物を人に借りるなんて、とんでもない! もし突然借りられなくなったら、患者さんはどうなるんだ!
事務長 大声を出すのは誰じゃ!
キソさぶろう 失礼。来週からお世話になる内科のキソさぶろうです。話が聞こえてきたので、つい声を張り上げてしまいました。
事務長 これはこれは、キソ先生。キソ…ということは、もしかして…。
キソしろう お察しの通り、私の2番目の兄です。
事務長 そうだったのか。言われてみれば、顔がそっくりじゃわい。
キソしろう 久しぶりだね、兄さん。不動産流動化を使った資金調達には抵抗がある人もいるけれど、むしろ病院が運営を続けるために使った方がいい場合もあると思うな。
事務長、ちょうどよく手元に説明用のフリップボードがあるので、使いどころや気を付けるべきポイントを紹介してもいいですか。
事務長 よろしく頼む。
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