「病床数を最大20万削減」-。6月中旬、各紙が一斉にそう報じた。政府の専門調査会がまとめた2025年の必要病床推計に基づく報道だが、数字が独り歩きをし、地域医療構想(ビジョン)の策定へ向けて既に動き始めていた関係者らの間で波紋を呼んだ。「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」の委員を務める奈良県の渡辺顕一郎医療政策部長は、「ミスリードにならないようにしなければ」と話す。待ったなしの病床再編が求められる中、難しいかじ取りを任された自治体の本音に迫った。【坂本朝子】
というのも、今回の推計で示された奈良県の必要病床数は1万3046床で、13年の医療施設調査時の病床数1万4212床との差は1166床と、そう大きく乖離していなかったからだ。もちろん、約1割の削減でも関係者にとっては頭の痛い話には違いないが、3割を超える削減が必要とされる県もあることを思えば、比較的影響が少ない方と言える。
また、県としては、推計の数字ありきではなく、あくまで今後の需要を考えた「参考値」ととらえるスタンス。そのため、あつれきを生む事態にはなっていない。
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