手術を受ける小児に、手術室の事前オリエンテーション(術前訪問)を実施して不安や恐怖を最小限に減らすことは、子どもの権利を守る観点から重要とされている。しかし、緊急手術も多く、限られた数のスタッフでは、術前訪問できないこともあるのが実情だ。東京都立小児総合医療センター(府中市、561床)の手術室看護師らは、できる限り多くの小児患者にオリエンテーションを行おうと、さまざまな工夫を凝らしたDVDを自主制作した。【丸山紀一朗】
DVDを制作したチームのリーダーで、手術室看護師の川島由香さんによると、オリエンテーションの“肝”は、吸入麻酔のために着用するマスクだ。
「多くの子どもはマスクを顔に当てられるのを嫌がるので、フルーツなどの香りを付けて抵抗感を減らしますが、途中から麻酔薬の独特のにおいが混ざってくるため、鼻ではなく口で深呼吸してもらっています。術前訪問でこれを一緒に練習できると、実際の手術でも子どもの頑張りをより引き出すことができます」
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