「この検査をしている病院は全国でも多くはない。なぜだ」-。2014年度診療報酬改定を間近に控えた13年の晩秋、東京天使病院(東京都八王子市)に衝撃が走った。睡眠時無呼吸症候群の診療に力を入れる同院が、その診断のために患者を入院させて行う検査を、平均在院日数の計算対象から外す厚生労働省の案が中央社会保険医療協議会(中医協)の総会に示されたためだ。改定で、この見直しは現実となり、同院は一般病棟(10対1)の一部を、やむを得ず地域包括ケア病棟に転換した。しかし、同院の三谷敬子事務長は、約1年運営してみて、地域包括ケア病棟が「病院のコンセプトにぴったりだと思えてきた」と語る。【佐藤貴彦】
東京天使病院は、いわゆるケアミックス型の病院だ。救急告示病院として一般病棟で急性期患者を受け入れつつ、睡眠時無呼吸症候群の診療にも積極的に取り組み、毎月30人前後に終夜睡眠ポリグラフィーを実施。一方、回復期リハビリテーション病棟で近隣の急性期病院などから患者を受け入れて手厚いリハビリを提供するほか、併設する介護老人保健施設などでも状態に合わせたリハビリを行ってきた。
もともと、一般病棟は2棟79床、回復期リハビリテーション病棟1棟47床だったが、診療報酬が改定された4月、一般病棟を1棟39床に縮小し、残りの1棟を、40床から36床に減らした上で地域包括ケア病棟に転換させた。
地域包括ケア病棟を立ち上げたのは、14年度改定で平均在院日数の計算方法に“大変革”が起きる兆しが見られたことがきっかけだったと三岳修医事課長は振り返る。
(残り 2049 字/全 2724 字)
16年度改定の足音…それぞれの選択(1)-7対1堅持、包括ケアに備える
16年度改定の足音…それぞれの選択(2)-ADL加算、疾患別リハ除外が障害に
(残り2105字 / 全2876字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】