「在宅での看取り」をテーマに、第26回日本在宅医療学会学術集会がこのほど東京都内で開催され、在宅医を中心に看取りについてのシンポジウムが行われた。がん緩和医療では、家族の協力が得られれば、かなりの処置や治療が可能といった声をはじめ、神経難病でも、家族に介護力があれば支えられるといった意見もあった。また、医療や介護に対する家族の意見が一致するのは難しいため、段階を踏みながら意思決定を支援していく必要があるという指摘もあった。在宅で看取るためには、患者だけでなく、家族ともしっかりと関係を築き、支援していくことが求められるようだ。【大戸豊】
すぎもと在宅医療クリニック(名古屋市)の杉本由佳院長は、医療依存度の高いがん患者の在宅看取りをテーマに、これまでの取り組みを紹介した。
杉本氏は、在宅に移行する患者の苦痛を取り除き、家庭に合った生活をしてもらおうと、2004年にクリニックをスタート。今年6月時点の患者は564人で、このうち7割をがん患者が占める。在宅看取り率は90%を超える。
現在、院長と事務員の2人でクリニックを運営しているが、地域の訪問看護師や薬剤師、ケアマネジャーからの協力が得られているほか、症状の管理などに配慮することで、夜間の呼び出しはほとんどないという。
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