患者が死亡する医療事故が発生した東京女子医科大病院と群馬大医学部附属病院で特定機能病院の承認が取り消された。こうした事態を受け、厚生労働省は「大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォース」を設置。特定機能病院の集中立入検査に乗り出した。秋までに全84施設を回り、調査結果をまとめる予定だ。この調査目的はあくまで実態把握とされるが、関係者の間では動揺が広がる。緊急声明で自主点検を呼び掛けた全国医学部長病院長会議の荒川哲男会長(大阪市立大医学部長)に話を聞いた。【聞き手・坂本朝子】
本当に遺憾としか言いようがありません。個々に問題があったから発生したと思いますし、「チーム医療が成り立っていなかった」「病院のガバナンスが利いていなかったから情報が上まで伝わっていなかった」という指摘は、その通りだと思います。
ただ、あれをもって調査に入るということや、その決定の早さには驚きました。われわれも、同じような事態が起こらないように自己点検をするよう会員病院に対して声明を出そうと、かなり早い段階から考えていたからです。ただ、理事会と総会を通す必要があり、その手続きを進めている間にタスクフォースの話が先に出てしまいました。
政府が関与するとなると、強制的な調査となり、まるで検察庁が全大学に入るような印象を与えかねません。だから、まずは、われわれが自己点検をすべく緊急声明を出し、その姿勢を国民の方々にも分かっていただいた上で、信頼回復に向けた再チェックをし始めたかったというのが本音です。
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