抗がん剤治療の副反応で催す吐き気を抑えるために投与する「制吐剤」。この制吐剤を、学会のガイドラインに適合するよう見直すことで、年間約1000万円の薬剤費が削減できる-。東京都保健医療公社多摩南部地域病院(多摩市、318床)では、薬剤師の積極的な介入で病院の経営改善が進む。確かなエビデンスに基づいた医師への提案と、患者の管理を医師に任せ切りにしない姿勢が、良好なチーム医療の実践を生んでいる。【丸山紀一朗】
「ある程度は予想していたが、8割という数字にはびっくりした」。同病院の薬剤科の中で、制吐剤の変更プロジェクトを実施したサークル「制吐会」のリーダーで、がん薬物療法認定薬剤師の資格を持つ畠山卓さんは、自院の抗がん剤レジメン(治療計画)の82.2%が日本癌治療学会の「制吐薬適正使用ガイドライン」(2010年度版、14年度一部改訂)に適合していなかったと分かった際の衝撃を、こう振り返る。
【連載「創意工夫で院内改善」】
電カル導入は困難、管理システムを独自開発(2015/06/11)
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