■一律の黒字化、「相当難しい」
「地方では医師不足が深刻だが、研修能力が優れ、医師数が増加している病院では収益が改善してきている。総務省の定めるルールに基づく一般会計からの繰り出しの範囲内で経常収支が黒字の病院が増えてきている」。公立病院の現状について、伊関教授はこう分析する。一方、医師不足により医師の増えていない病院では収益が伸びず、医療提供体制を継続するのが精一杯の病院が少なからずあることを挙げ、「公立病院を一律に経常黒字にするのは相当難しい」と指摘する。
県庁所在地から車で1―2時間ほどかかる地域では、開業医が高齢化して引退し、公立病院が唯一の外来となり、病床を含め地域医療の最後の砦になっているケースもあるという。「そういう場所では、機械的に繰り入れゼロだとか、繰り入れを含めて経常収支を黒字にするのは難しい」という。ただ、都道府県の地域枠の医学生だった医師が、これからは勤務医として地域で診療に当たるようになるとし、「この2、3年我慢すれば、先が見えてくる病院もあるのではないか」と推測する。
(残り2473字 / 全3154字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】