日本創成会議(座長=増田寛也・東大大学院客員教授)は4日、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川の1都3県)で2025年までに約175万人増えると見込まれる後期高齢者を、圏内の介護施設などでは支え切れないとして、地方移住環境の整備など4つの対策を提言した。さらに、過疎地域以外で、医療と介護の受け入れ能力が高いと考えられる41の二次医療圏も「移住候補おすすめ地域」として紹介した。【佐藤貴彦】
対策は、同会議の分科会が「東京圏高齢化危機回避戦略」として取りまとめた。同日に記者会見した増田氏は、東京圏の特別養護老人ホーム(特養)やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などの定員数と後期高齢者の人数の関係について、15年は東京23区や千葉の施設不足を埼玉や神奈川が補っているものの、25年には東京圏の全地域で大幅な不足が生じると指摘。「高齢者はどこの介護施設が空いているのか、まさに早い者勝ちで奪い合うような形になる」と警鐘を鳴らした。
ただ、東京圏の中に介護施設などを増設して高齢化による医療・介護のニーズの増加に対応しようとする場合、人材確保が大きな課題になると強調。もし、東京圏外から働き手を確保しようとすれば、地方の人口減少を加速させるとの危機感を示した。
さらに、東京圏は介護施設の新設に必要な用地費や建設費が東京圏外と比べ高く、例えば秋田と東京を比べると倍以上の差があると強調。介護報酬一単位の単価に地域区分ごとの差が設けられている点にも注意を促し、その仕組みによる東京圏の上乗せ額の合計を12年度のデータで算出すると、年800億-900億円となるとした。
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