労働安全衛生法の改正に伴い、「ストレスチェック制度」が今年12月から始まる。今後、従業員50人以上の事業場では、労働者の心理的な負担の程度を把握する検査「ストレスチェック」などの実施が義務付けられる。しかし、この制度、企業側の理解不足や人材不足など、解決すべき問題が山積する。中でも、制度の核となる精神科を専門とする産業医の不足は深刻で、早急な対応が求められる。長年にわたり産業医活動を続ける精神科医の渡辺洋一郎氏に話を聞いた。【坂本朝子】
開口一番、渡辺氏はそう語った。
実は4年前、ストレス症状のチェックをする、いわば「心の健康診断」のような位置付けで法案が提出されていた。しかし、両学会は、心だけを切り離して診断することに疑問を呈し、偏見や差別を生むとして猛反発。その後、衆議院の解散で一端は廃案になったものの、政権交代後2年ほどで再び浮上してきたという経緯がある。
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