急性期医療を担う1580病院(今年4月現在)が参加するDPC制度が、大きな曲がり角に差し掛かっている。DPC対象病院の「前年度並みの収入確保」といった役割を担ってきた「調整係数」の廃止を控え、医療現場に大きな混乱を起こさぬ方策の検討が喫緊の課題として浮上しているためだ。次回の2016年度診療報酬改定に向け、急ピッチで見直しの方向性を検討する診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会の小山信彌分科会長(東邦大特任教授)に、今後の論点を聞いた。【聞き手・佐藤貴彦】
調整係数はDPC制度が導入された03年、同制度に参加する病院の経営状態が極端に悪化しないように、参加する前の収入の水準を担保するといった目的で設定された。しかし、収入を無条件に担保する仕組みなどが問題視され、別の評価方法への置き換えが同制度の整備の中で少しずつ進められてきた。
12年度改定では、調整係数を、DPC対象病院の医療の質的な向上などを評価する「機能評価係数II」と、基本的な診療機能を評価する病院群ごとの「基礎係数」に、段階的に置き換えることが決まった =図、クリックで拡大= 。置き換えは同改定を含む4回の改定で25%ずつ進められることになり、2回目の14年度改定で50%まで進んだ。
この置き換えでは、現場の混乱を防ぐために「激変緩和措置」が設けられた。同措置は、改定ごとに病院の推計診療報酬変動率が2%を超えないよう「暫定調整係数」を増減させるものだが、その対象病院数が物議を醸している。12年度は42だったのが、14年度は135まで拡大。さらに厚生労働省が16年度には400弱になるとの試算を示したためだ。
調整係数の置き換えが完了すれば激変緩和措置もなくなる予定で、このままだと措置の対象だった病院の収入が18年度に大きく変動する可能性がある。このため、同措置などの在り方が、DPC評価分科会での次期改定に向けた議論の大きなテーマになっている。
■出来高点数との差が大きい病院に見直しのヒント
DPC制度をめぐる分科会での議論は、今後どのように進むのか―。インタビューの主なやりとりは以下の通り。
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